俺は、一人でやり遂げられる

限界のサインと、30分の決断
順調に見えた2日目。だが、旅はそう甘くはなかった。
房総を一周し、北上を続ける俺を待っていたのは、車中泊旅の「洗礼」とも言える過酷な局面だった。
「発酵の里こうざき」を後にし、「道の駅 しょうなん」へと向かっている時だった。
強烈な眠気が襲ってきた。
一晩を車で過ごし、走り続けた疲れが、単調な道筋で一気に吹き出したのだろう。無理をして事故を起こせば、70歳の未来もクソもなくなる。
俺は無理をせず、印西市役所の駐車場に車を滑り込ませた。
そこでとった、30分の仮眠。
シートを倒し、目を閉じる。わずかな時間だったが、その休息が俺の集中力を繋ぎ止めてくれた。
都会の洗礼「渋滞」
そして、この旅で一番の試練だったのが「道の駅 しょうなん」から「道の駅 いちかわ」へのルート。ここは千葉県内でも人口密集地帯だ。
ひどい渋滞。なかなか進まない車列。
開放的な房総の海沿いを走っていた時とは正反対の、精神を削られるような時間だった。正直、この時は「本当に嫌だ」と心の中で毒づいた。
だが、そんな渋滞の中でも、俺を支えてくれたのは「この先にある帰宅というゴール」と、この旅を完遂するという執念だった。
17時10分、旅の終わり
17時10分。八千代を経て、自宅の駐車場にタイヤを止めた時、俺は深く息を吐いた。
千葉県をぐるりと一周。
アクシデントも、眠気も、渋滞も、すべてを飲み込んで俺は戻ってきた。
この48時間で得たものは、スタンプや切符だけじゃない。
「どんな状況でも、自分一人で判断し、自分をコントロールし、目的地に辿り着ける」という、鋼のような確信だ。
50代の俺の挑戦は、まだ始まったばかりだ。
この旅は、終わっていない。
だが、千葉の道が教えてくれた教訓はこの先、いつか辿り着く俺の静かな旅路を間違いなく支えてくれるだろう。

【 The Silent Journey:旅の軌跡 】

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