70歳で、人生を取り戻す。

子供のころの激しい高揚感
子供の頃、キャンプに行くと聞くだけで、胸が震えるほどワクワクした。 テントを張り、火を起こし、外で不器用な料理を作って食べる。 ただそれだけのことが、どうしようもなく特別で、自由の象徴だった。
大人になり、いつの間にかキャンプからも遠ざかった。 けれど、何年経っても、あの時感じた高揚感だけは、俺の心の中で消えずに残っている。
気づけばいつのまにか・・・
気づけば、俺は50代になった。 ふと見渡せば、この日本には、まだ俺が見たこともない土地や景色が、数え切れないほど広がっている。 その土地の空気、肌に触れる風、名もなき道の駅の静寂。 俺はまだ、この国のことを何も知らない。
「せっかくこの日本に生まれてきたんだ。死ぬまでに、自分の目で、全部見てみたい。」
その想いが、俺を突き動かした。
自分の思いと現実のギャップ
しかし、現実は甘くなかった。
65歳で定年しても年金はわずか。最低限の生活を何とか維持できるだけで、全国車中泊の旅なんか夢の夢で終わってしまう。
加えて日本の健康寿命は平均72歳と言われている。これでは70歳で引退したとしてもわずか2年ほどで旅から引き上げなければならなくなる。
定年後の「自由な時間」を、本当の意味で謳歌するには、並大抵の準備では足りないのだ。
だから、俺は未来に賭けることにした。
70歳までの行程表を描き、愚直にこなす。
- 体力の維持: 70歳でも一人で車を操り、旅を続けられる強靭な体を、日々のトレーニングで作ること。
- 経済の構築: 70歳までしっかり働き、貯蓄と年金の繰り下げ受給を組み合わせ、旅の軍資金を確保すること。
- 完全引退: 70歳を境に労働社会から卒業し、そこからはただ、放浪の旅に全てを捧げること。
これが、俺が描いた人生の後半戦の地図だ。
正直に言えば、本当に実現できるかなんて分からない。 けれど、座して待っていても、理想の未来は一歩も近づいてはこない。
これは、50代の俺が始めた、人生最大の「遊び」であり、「無謀な挑戦」だ。 準備は静かに、けれど着実に進んでいる。
これは、俺の人生を懸けた記録だ。
【 The Silent Journey:旅の軌跡 】

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